『紙に描いた「日の丸」――足下から見る朝鮮支配』

Amazon.co.jp: 紙に描いた「日の丸」 足下から見る朝鮮支配 : 加藤 圭木: 本

【書籍情報】
・著者: 加藤圭木
・出版社:岩波書店
・刊行年: 2021年
・体裁: 46  ・ 244頁

【概要】
植民地支配下の朝鮮でどのような暴力がふるわれ、日々の暮らしは変容したのか。人びとはどのように支配に抗い、破壊された社会関係の再構築をめざしたのか――土地の収奪や労働動員、「日の丸」の強制、頻発する公害とそれに対する闘争などを切り口に、支配をうけた地域とそこに暮らす人びとの視点から、支配の実態を描き出す(版元HPより)。

【目次】
はじめに
朝鮮民主主義人民共和国のある海辺の町から/国境を行き来する人びと/足下から歴史を考える

凡 例

第一章 奪われた土地──日露戦争と朝鮮
 カキ会社への怨み/ある日、突然やってきた日本軍/日露戦争と朝鮮/日露戦争下の土地略奪問題/永興湾の軍事基地建設と住民
 【コラム1】 三・一運動

第二章 紙に描いた「日の丸」──天皇制と朝鮮社会
 平壌の街で/天皇制・同化・差別/地域に入り込んだ監視──「即位の礼」の光景/三・一運動後の朝鮮社会と「日の丸」/朝鮮人にとっての天皇・天皇制
 【コラム2】 植民地下の新聞

第三章 水俣から朝鮮へ──植民地下の反公害闘争
 二〇一一年三月の水俣/チッソの公害/植民地でなぜ公害が?/チッソの朝鮮進出/工場・ダム建設と地域社会/チッソと地域支配/チッソと性買売/植民地下のセメント工場の公害事件/稷山鉱害事件/工場が設立された地域の状況/被害の実態と住民の抗議運動/住民の大規模な検挙/住民の全面的な妥協/日本公害史の再検討
 【コラム3】 植民地期朝鮮の地方制度

第四章 忘れられた労働動員──棄民政策と荒廃する農村
 韓国地方踏査/死ぬよりはよい/「過剰人口」?/斡旋数と斡旋先/「移動紹介事業」の準備過程/斡旋先の状況/一九三四年の斡旋/労働者斡旋の方法/労働者の収容難と賃金の低下/労働者に対する使用者側の不満/一九三五~三六年の斡旋/棄民政策としての「移動紹介事業」/朝鮮人労働動員はいつからはじまったか?
 【コラム4】 植民地収奪と朝鮮農民

第五章 空き地だらけの都市──越境する人びと
 清津の街で/「裏日本」という観念/空き地だらけの「都市」羅津/鉛筆道路/羅津建設事業の停滞/強権的な都市計画法令/市街地計画と住宅強制撤去/強権性の行き着くところ/羅津は「寒々とした地域」「ゴーストタウン」か?/朝鮮側にとっての地域社会とは/交易の拠点としての慶興/慶興にとっての地域発展とは?/植民地的に再編される慶興、そして雄基/雄基の朝鮮人地域有力者/下からの社会運動と新たな地域形成の試み/地域内部における支配とのたたかい/越境する抵抗/下からのエネルギーの行方

おわりに
 「豚殺し」の歌/分かちがたく結びついた歴史/村々を想起すること/被害を問い直す/朝鮮人側にとっての世界/足下からの世界史を目指して


あとがき

目次