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日本軍将兵の戦記
水谷真雄『泰緬鉄道建設記 続 密林の夜明け』(花園書房、東京都、一九五六年)四三~四四頁。
(著者は第四特設鉄道橋梁隊)
真介〔著者〕は、町の様子もおおよそ判つて来たし、住民の中にも表面は日本軍に協力的な態度を見せては居るが、内心必ずしもそうでないと思われる者も多少居るように見受けられたので、こんなところで隊員達が、風紀上の問題から原住民との間に摩擦を起すようなことがあつては大変だと、隊専用の慰安所を開設することを提案、早速意見が容れられたので、設営準備に取りかかる一方、慰安婦は町の顔役にあつせんを頼み、取敢ず三、四人揃つたところで、近くの兵站病院にその身体検査を依頼するなど、何かと手数はかかつたが、どうやら間もなく開設の運びとなつた。ところが慰安所開設の報を聞き伝えた附近駐留の各隊が黙つていない、次から次と利用申込みが殺到して来たので、ついに利用日を決め、一人当りの制限時間を規定するやら、料金を統制してサービスの公平を図るなど、随分細かい神経を消耗させられたが、然しそれだけに効果は充分あつた。
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