江蘇省 浗陽
日本軍将兵の戦記
田村定禧『湖州便り「専と進撃」補充編』私家版、1997年
私は前任地である浗陽「スーヤン・江蘇省北部・20年3月迄駐屯した」の軍人クラブでは、朝鮮系娼婦が2〜3人居たが、富田隆さん(少尉 金沢市出身)の話によれば、その内の一人は、日本円で200円の前借りでブローカーに連れて来られたが、その仕事の内容が本人の予想と異なり、辛いと嘆き、今直ぐにでもその借金を返して帰りたいと、泣いていた娘がいたと聞く。この娘が、そのブローカーに連れて来られた時、日本兵を相手にする娼婦であることを承知していたが、来てみたら余りの辛さに泣いたのか、又、娼婦というものの仕事の内容を知らずに来て、驚き悲しんだのか、又、全く他の仕事であるとごまかされて来たのかは知るよしもない。この時は、インフレが昂進し、毛布一枚売れば200円「儲備券で1000元余り」になる状況にあった。