『暴かれた真実NHK番組改ざん事件 ―― 女性国際戦犯法廷と政治介入』

【書籍情報】
・著者:VAWW-NET JAPAN(編)
              西野瑠美子(責任編集)
              東海林路得子(責任編集)
・出版社:現代書館

・出版年:2010年
・体裁:46・344頁

【概要】
 2001年に放映されたNHKのETVシリーズ2001「戦争をどう裁くか」第二夜「問われる戦時性暴力」は、制作中より街宣車が乗りつける放送中止の強迫に遭い、政治介入による幾度もの改変の結果、4分も尺の足りない状態で放映された前代未聞の番組だった。改ざんの末放映された番組は、内容の中心である「女性国際戦犯法廷」やコメンテーターの発言を意図的に切り刻み、順序を入れ替え、肝心な被害者女性や加害者男性の証言をカットしたものだった。
 この番組改変事件をめぐり、番組の取材対象で「女性国際戦犯法廷」を主催したVAWW-NETジャパンはNHK他2社を提訴。人権と名誉をかけ7年にわたり裁判を闘ってきた。高裁では勝訴したものの、最高裁ではそれまでの論点と責任を回避する不当な判決が下されてしまった。
 この事件と裁判闘争は、日本社会が「慰安婦」問題の「歴史と責任」に向き合えないのは何故か、メディアは何故「慰安婦」問題の加害の歴史に沈黙するのか、そこに立ちはだかるものは何かを浮き彫りにしている。
 この事件・裁判をめぐって発言してきた原告バウネット、元NHK職員、弁護団、研究者等22名による、様々な角度からの見解を収録した判決評価集(版元HPより)。

【目次】
第1章 NHK裁判をふり返る――原告から――
 人間の生きざまを問うたNHK番組改ざん裁判(西野瑠美子)
 私にとってのNHK裁判(東海林路得子)
 NHK裁判を闘って(田場祥子)
 マスメディアと市民運動のはざまで(池田恵理子)
 最高裁判決は間違っている(飯田正剛)
 「女性国際戦犯法廷」裁判を振り返って(大沼和子)
 取材対象者の期待と信頼の保護に関する最高裁と東京高裁の判断(緑川由香)
 NHK番組改変事件高裁判決における内部的自由に関する問いかけ(日隅一雄)
 法律実務家の観点から、最高裁と高裁判決を比較検討する(中村秀一)

第2章 改変ドキュメント
 消された裁きとフェミニズム(米山リサ)
 〔コラム〕女性国際戦犯法廷とは何だったのか(金 富子)
 真相究明と責任追及(板垣竜太)

第3章 その時、何があったのか?
 ETV2001改変事件は私たちに何を問うているのか(永田浩三)

第4章 判決・裁判をどうみるか?
 「NHK番組改変事件」は終わっていない(松田 浩)
 ETV番組改変裁判で考えたこと(原 寿雄)
 朝日新聞の劣化を憂う(柴田鉄治)
 NHK番組改変問題と表現の自由(田島泰彦)
 NHK番組改変問題で問われたもの(野中章弘)
 事実を埋もれさせてはならない(戸崎賢二)
 残る疑問(小滝一志)
 最高裁のNHK裁判を批判する(奥平康弘)
 「表現の自由」とは何か?(皆川 学)

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