日韓スタディツアー見学記 <民主化運動記念館>1

12月19日午前に入館した。ソウルの中心部にあり、ソウル駅から約10分ほど、地下鉄1号線で「南営駅」や4号線で「淑大入口駅」から徒歩で行くことができる。昨年6月にリニューアルした。

新設された民主化運動記念館(ミュージアム1:予約不要)と、1976 年南営洞に建てられた「治安本部対共分室」がそのまま保存されている記念館 (ミュージアム2:予約制)が公開されている。 火曜日~日曜日10:00~18:00(入場締め切り:17:00)で観覧料は無料。

https://www.kdemo.or.kr/exhibit/visitGuide.do
                          

https://youtu.be/xHHCGbbrXCo?si=nV_aAjb5tz4GeGD0

ミュージアム2:「治安本部対共分室」

1976 年に建築家キム・スグンの設計で建てられた「治安本部対共分室」は、当時の様子を伝えるため、当時のまま保存されている。7階建ての5階が調査室と呼ばれるいわゆる拷問部屋がある。建物に入るとまず螺旋階段が目に入る。これは5階としか繋がっていない。螺旋状のため、目隠しされ連行されると、何階にいるのかわからず、鉄製のためコツコツと足音が響き恐怖感を煽るとのこと。現在は老朽化しているので観覧者は上ることができない。


5階には調査室は15室あり、部屋のドアは互い違いに配置されている。これは他の部屋の様子を見えなくするためだ。5階だけ人間が通れないほどの細い窓になっている。脱走を防ぐと同時に、外の光を感じにくくさせ、時間感覚を鈍らせる効果もあるという。

壁は防音になっておりどうなに叫んでも外に漏れないようになっている。各室に監視カメラが設置されているが、各室に洗面台、トイレ、浴槽があり、捜査する空間と分離されておらず、監視カメラは全てを映す。別室に、その監視カメラを一度に全部見渡すことができるモニターがあるのも改めて驚く。

ドアについたドアスコープは捜査員だけが廊下から容疑者を監視できるようになっていたり、赤い部屋、黄色い部屋など不安感を煽る色づかいになっているなど拷問施設としてかなり研究されているのがわかる。設計した建築家はアウシュビッツ収容所などを参考にした形跡がある。

1987年1月、ソウル大生朴鍾哲(パクジョンチョル)が警察の水拷問で死亡した事件が起きる(その現場は509号室として残されている)。警察は隠蔽工作をしたが、検察が火葬を拒否し、法医学者が事実を述べ、一部言論が真相を報道した。このことは六月民主抗争につながっていく。

この事件報道を契機にメディアの政治介入と闘った記者たちを描いた『1987』は2018年に日本でも公開され大ヒットしたので記憶にある方もいるだろう。現在もネット配信しているので未見の方はぜひ観てほしい。

5階で驚くのは、捜査陣の幹部たちが休憩した部屋である。ここは片面は大きな窓で、そこからは庭やテニスコートが見える。すぐ隣で拷問しているのに、ソファーやベッドが置かれ、コーヒーなどを飲みながらくつろいでいたというのだから、人間の恐ろしさを実感する空間だ。

他のフロアは、当時の資料、写真、拷問に使った器具などが展示され、被害者や遺族により個人個人の資料、手紙、証言などの記録物も展示されている。また、アーティストたちによるアート作品も展示されている。

 壁に耳をつけると証言などの声が聞こえる

ミュージアム1:民主化運動記念館

ここでは常設展と特別展示が行われていた。

常設展

韓国民主化運動の歴史がわかりやすく時系列でデジタル展示されている。指でタッチするだけで複数言語が選べ、日本語もある。長い文章は手でスクロールできるようになっている。


特別展「切り捨てられた文章 開かれた広場」 2025.12.2(火)〜2026.3.29(日)


 今回、地下2階で特別展「切り捨てられた文章 開かれた広場」(“잘린문장 열린광장”) が開催されていた。独裁政権に立ち向かった報道人の記録と時代に応答した芸術という2部の展示構成になっている。

1部では1970~80年代の独裁政権下におけるメディア弾圧の実像と、それへの抵抗の歴史を映し出す。

1974年の東亜日報自由言論実践宣言、1975年の東亜日報の白紙広告事態、1986年の報道指針暴露、解職ジャーナリストの闘争と1988年のハンギョレ新聞創刊まで続く言論検閲で消され削除された「切り捨てられた文章」は、当時の沈黙を越えて、民主主義言語がどのように書き直されてきたかを示す。

政府は、『東亜日報』の広告主に圧力をかけ、広告欄は白紙に。しかし、市民たちは激励広告を出した。

「自由言論実践宣言」74年、『東亜日報』の記者180人で発表。検閲を拒否

全南毎日新聞の紙面 検閲前と後


2部は「イメージの言語 再び書き換える明日」と題して、アーティストたちがその抵抗に連帯していたのかを表す。

参加作家:ソン・ソンギョン パク・ゴン オク・ジョンホ イ・ユンヨプ

シム・スンウクキム・ジヨン チョン・ジョンヨプ

ソン・ヌンギョン 성능경〈新聞を読む〉1976年は検閲されて読む記事がなくなっていく様子を連続写真で可視化している。検閲された記事を切り抜いていくと、最後は新聞全体がボロボロになる。



他に、オク·ジョンホ〈Moving Day 1〉2023年、パクゴン〈所持品検査〉1983年、イ·ユニョプ、チョン・ジョンヨプ〈広場〉連作2021年など、時代状況と呼応した作品が並ぶ。

韓国ではこうして運動、あるいは歴史の中で芸術家が果たした役割がほとんどいつも残っていると感じる。

岡本有佳記

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