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日本軍「慰安婦」・「強制連行」などを否定した高校教科書検定結果に対する抗議声明

  文部科学省は、3月29日、2023年度から使用される教科書の検定結果を公表した。 検定では、高等学校地理歴史「日本史探究」「世界史探究」と公民「政治・経済」の「従軍慰安婦」や朝鮮半島出身者への「強制連行」といった記述に対して、「政府の統一的見解」に基づいていないなどとして、修正を求める意見を付けたという。 この結果、政府見解に基づき教科書の用語が修正させられる事態が生じた。  今回の検定意見は、2014年に改正された「教科書検定基準」に基づくものである。 この改正により、「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める」との項目が定められた。 これは、政府見解を教科書に書き込ませるという教科書記述への国家権力の介入を定めた規定であり、問題が指摘されていた。  今回の検定において、「政府の統一的見解」とされたのは、日本政府による2021年4月27日の一連の答弁書の閣議決定である。 この中で、「政府としては、「従軍慰安婦」という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、「従軍慰安婦」又は「いわゆる従軍慰安婦」ではなく、単に「慰安婦」という用語を用いることが適切であると考えており、近年、これを用いているところである」とされた。 また、「朝鮮半島から日本への労働者の移入」について、「強制連行された」若しくは「強制的に連行された」又は「連行された」と一括りに表現することは、適切ではない」などとした。  閣議決定の問題点については、すでに2021年7月8日および9月13日の声明で指摘したが、あらためて指摘すれば次の通りである。 ① 歴史の解釈と用語をときの政権の都合で閣議決定することは、歴史事実の軽視であり危険である。 ② 歴史研究の成果を無視して、日本軍「慰安婦」制度が女性たちの意に反して強制的におこなわれたことを否定するとともに、日本軍の存在と責任を抹殺する意図から、「従軍」を外すべきだとしたことである。 ③ 戦時期に国家主導でおこなわれた朝鮮人労働動員政策に関して、これまでの研究において実態の検討を踏まえて「強制連行」などの用語が用いられてきたことを無視し、政策全体に対してそうした表現を用いることは「適切ではない」としたこと、などである。  日本政府はすでに昨年より上記の「教科書検定基準」と閣議決定を根拠として、教科書への政治介入を進めてきていた。 今回の検定意見は、それに続く教科書記述への政治介入であり、到底許されることではない。 学問の自由、言論・出版の自由を否定するものであるとともに、実証的な研究にもとづいた教科書記述を政治的意図から歪曲するものであり、見過ごすことのできない問題である。  また、今回の検定は、日本による加害の歴史を正当化するものであり、断じて認めることはできない。 日本政府に抗議し、教科書記述への不当な介入をとりやめることを求める。 2022年4月2日 Fight for Justice (日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)  

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小野沢あかねさんによるラムザイヤー論文への反論(英文)がアップされました。

小野沢あかねさんによるラムザイヤー論文への反論(英文)がアップされました。

小野沢あかねさん(立教大学教授、近代日本公娼制研究)によるラムザイヤー批判論文(英文)が3月15日、ジャパンフォーカスに掲載されました。ご参照ください。拡散歓迎します。 Problems of J. Mark Ramseyer’s “Contracting for Sex in the Pacific War”: On Japan’s Licensed Prostitution Contract SystemBy Onozawa AkaneTranslation by Miho Matsuguhttps://apjjf.org/2022/6/Akane-Matsugu.html

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吉見義明さんによるラムザイヤー論文への反論(英文)がアップされました。

吉見義明さんによるラムザイヤー論文への反論(英文)がアップされました。

吉見義明さん(中央大学名誉教授)によるラムザイヤー論文への反論(英文)が2月23日に以下のサイトに掲載されました。IRLEに送った反論ですが、まずworking paperとしてSSRNにアップされました。ご参照ください。拡散歓迎します。 Response to ‘Contracting for Sex in the Pacific War’ by J. Mark RamseyerBy Yoshiaki Yoshimihttps://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4029325&fbclid=IwAR3ZcUXIJwXzue3t45y1v6AEhphSkDhm5zEROR3nmLTvhxEMwCN-LvksYJY

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クラウドファンディング開始 ― 性暴力を許さない未来のために

クラウドファンディング開始 ― 性暴力を許さない未来のために

本日1月31日、Fight for Justice(以降FFJ)のウェブサイトリニューアル、今後の情報発信強化のためにクラウドファンディングを開始しました!Campfireというクラウドファンディングのプラットフォームで行っております。 私たちは2013年より、日本軍「慰安婦」問題の事実関係に特化した、専門的で信頼できるWebサイトを運営しております。サイトを立ち上げて8年以上の月日が経ちましたが、このままのデザインとコンテンツでは、十分な発信力を保つことができません。そこで、FFJは、インターネット上の歴史修正主義にしっかり対抗するために、ウェブサイトを大幅にリニューアルすることにしました。まず問題のありかを手っとりばやく理解したい、知りたい状態にもっと簡単にたどりつきたい、長い文章を読むのがたいへんなのでまずは動画や漫画で知りたい、そんなニーズにこたえ、国内外への情報発信力をぐっと強めます。そして、日本軍「慰安婦」問題に関するインターネット世論の状況を変革し、そのことを通じて問題解決への道を切りひらきます。このような経緯でクラウドファンディングをすることになりました。 本プロジェクトにご賛同してくださる方は、ぜひご支援と周りの方々へプロジェクトの拡散へのご協力をお願いいたします。下記のリンクからプロジェクトの詳細、ご支援の手続きについてご確認いただけます。(添付のQRコードからもご確認いただけます。)また、拡散する際には、同リンクをご使用いただければと思います。ご支援くださった方には感謝の気持ちとして、書籍や現在開催中の連続講座への参加券などをご提供しております。 https://camp-fire.jp/projects/view/524004 クラウドファンディング期間中、FFJはInstagram、Twitterで情報を発信していきます。アカウントをお持ちであればぜひフォローをお願いいたします。Instagram: fightfjustice_2021Twitter: @FightfJustice ご支援とご拡散のご協力をよろしくお願いいたします。 Fight for Justice一同

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次世代が/をつくる映像プロジェクト始動

次世代が/をつくる映像プロジェクト始動

第1弾として <「慰安婦」問題を理解するためのQ&A> 10編 を制作し、その後は第2弾として <「慰安婦」問題 それが知りたい> の映像シリーズをアップしていきます。コンテンツは質問に対して日本軍「慰安婦」問題の専門家が答えるQ&A形式をとっていますが、映像制作はすべて若いメンバーが担っていて、分かりやすさと親しみやすさを重視しています。確実な根拠に基づいていて教材としても活用できるコンテンツを数多く作成していきます。また映像コンテンツなどの制作を通して、「慰安婦」問題の解決に力を注ぐ次世代の研究者や活動家を育成していきます。

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「従軍慰安婦」などの教科書記述に対する政治介入を批判する声明

 文部科学省は2021年9月8日、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書発行者5社から、「従軍慰安婦」「強制連行」などの用語・記述などに関して訂正申請があり、承認したと発表した。訂正申請では、「従軍慰安婦」の「従軍」が削除されたり、「いわゆる従軍慰安婦」という記述をなくした例があったという。また、「いわゆる従軍慰安婦」という例は残しつつも、注釈に「日本政府は、『慰安婦』という用語を用いることが適切であるとしている」との政府見解を付記した例もあったと報じられている。さらに、朝鮮人の「強制連行」という用語が訂正された例があったとされる。  これらは日本政府による教科書記述への政治介入の結果、生じたものである。  日本政府は、2021年4月27日に「政府としては、「従軍慰安婦」という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、「従軍慰安婦」又は「いわゆる従軍慰安婦」ではなく、単に「慰安婦」という用語を用いることが適切であると考えており、近年、これを用いているところである」との答弁書を閣議決定した。また、同日、「朝鮮半島から日本への労働者の移入」について、「「強制連行された」若しくは「強制的に連行された」又は「連行された」と一括りに表現することは、適切ではない」などとする答弁書を閣議決定した。  これらの閣議決定の問題点はすでに7月8日の声明でも言及したが、あらためて指摘すれば次のとおりである。①根本的な問題として、歴史の解釈と用語をときの政権の都合で閣議決定することは、歴史事実の軽視であり危険である。②歴史研究の成果を無視して、日本軍「慰安婦」制度が女性たちの意に反して強制的におこなわれたことを否定するとともに、日本軍の存在と責任を抹殺する意図から、「従軍」を外すべきだとしたことである。③戦時期に国家主導でおこなわれた朝鮮人労働動員政策に関して、これまでの研究において実態の検討を踏まえて「強制連行」などの用語が用いられてきたことを無視し、政策全体に対してそうした表現を用いることは「適切ではない」としたことなどである。  上記の閣議決定を踏まえ、5月12日の衆院文部科学委員会で、萩生田光一文部科学大臣は「教科書検定基準」(2014年改正)に基づき「教科用図書検定調査審議会において、当該政府の統一的な見解を踏まえた検定を行」うと答弁した。また、同委員会で文部科学省は、政府の統一的な見解を踏まえずに「従軍慰安婦」などの用語が使用される場合は、「児童生徒が学習する上に支障を生ずるおそれのある記載に該当する」(教科用図書検定規則)とし「教科書発行者が訂正申請を行わなければならない」と述べた。そして、教科書発行者が申請を行わない場合、申請を勧告する可能性を否定しなかった。  さらに、文部科学省は5月に、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書を発行する20社近くの編集担当役員らを対象に、説明会を開催し、上記の閣議決定の内容などを説明し、直接教科書発行者に対して圧力をかけた。  今回の教科書発行者による訂正申請は、こうした政府からの圧力の結果に他ならない。これは、ときの政権が歴史の解釈と用語を決定し教科書記述に対して政治介入をおこなったということであり、到底許されることではない。学問の自由、言論・出版の自由を否定するものであるとともに、実証的な研究にもとづいた教科書記述を政治的意図から歪曲するものであり、きわめて重大な問題である。  また、こうした行為は、日本による加害の歴史を正当化することであり、断じて認めることはできない。日本政府に抗議するとともに、教科書記述への不当な介入をとりやめることを求める。     2021年9月13日Fight for Justice (日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)

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日本軍「慰安婦」・「強制連行」などを否定した閣議決定と 教科書への政治介入を批判する声明 (FFJ)

全文PDFダウンロード  日本政府は、2021年4月27日に「政府としては、「従軍慰安婦」という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、「従軍慰安婦」又は「いわゆる従軍慰安婦」ではなく、単に「慰安婦」という用語を用いることが適切であると考えており、近年、これを用いているところである」との答弁書を閣議決定した。また、同日、戦時期の朝鮮人労働動員(「徴用工」問題)について、「強制連行」「強制労働」という表現は適切ではないとする答弁書を閣議決定した。これらの日本政府の閣議決定の問題点は、以下の4つである。  第1に、根本的な問題として、歴史の解釈と用語をときの政権の都合で閣議決定することは、歴史事実の軽視であり危険である。  第2に日本軍「慰安婦」制度が女性たちの意に反して強制的におこなわれてきた事実を否定する意図から、「従軍」という用語を外すべきだとしていることである。歴史研究の成果を踏まえれば、日本軍「慰安婦」制度における本人の意思に反した強制連行は否定できない事実である。ここで言う強制連行とは暴行・脅迫を伴う連行(略取)だけではなく、誘拐や人身売買などそのかたちはさまざまであるが、それらはどれも日本軍や日本国家の責任となるものであった。また、日本軍「慰安婦」制度における強制とは、「連行」時に限定されるものではなく、「慰安所」において女性たちが性奴隷状態とされたことは見逃せない。「強制連行」だけに焦点を当てるのは問題である。 なお、今回の閣議決定において、日本政府は1993年に河野洋平官房長官(当時)が発表した「河野談話」を継承するとしている。「河野談話」は、「軍の要請を受けた業者が主としてこれ(「慰安婦」の募集)に当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と連行時における強制性を認定している。また、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と述べている。強制性を否定する意図から「従軍」との用語を外すことは、「河野談話」からも後退することを意味する。  第3の問題点は、「従軍」という用語を外すことが、日本軍の存在と責任を抹殺する意図からおこなわれているということである。歴史研究の成果を踏まえれば、「慰安婦」制度は日本軍が立案・管理・統制したものであり、その責任は日本軍と日本国家にある。単に「慰安婦」と呼ぶことは、「慰安婦」制度において日本軍が主体となっていたことを覆い隠すものである。 前述の「河野談話」は、「従軍慰安婦」問題への「軍の関与」を認定し、そのうえで「いわゆる従軍慰安婦」との用語を用いている。この事実認定は不十分であり、「日本軍が主体であった」と記すべきであるものの、今回の閣議決定はこの点でも「河野談話」の立場から後退したものである。  第4の問題点は、本人の意思に反して強制的におこなわれた朝鮮人労働動員の実態を隠蔽しようとしている点である。歴史研究の成果を踏まえれば、朝鮮人に対して民族差別を伴う強制連行・強制労働がおこなわれたことは明白な事実であり、これらの用語を用いることは当然である。また、閣議決定は朝鮮人労働動員が「強制労働に関する条約」における強制労働には該当しないとしている。しかし、動員の過酷な実態や、1999年に国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会が朝鮮人労働動員は同条約違反であったとの見解を示していることを踏まえれば、強制労働を否定する日本政府の主張には説得性がない。  上記の閣議決定以降、教科書の「従軍慰安婦」や「強制連行」記述などへの攻撃が強められている。5月12日の衆院文部科学委員会で、萩生田光一文部科学大臣は「教科書検定基準」(2014年改正)に基づき「今年度の教科書検定より、教科用図書検定調査審議会において、当該政府の統一的な見解を踏まえた検定を行」うと答弁した。また、同委員会で文部科学省は、政府の統一的な見解を踏まえずに「従軍慰安婦」などの用語が使用される場合は、「児童生徒が学習する上に支障を生ずるおそれのある記載に該当する」(教科用図書検定規則)とし「教科書発行者が訂正申請を行わなければならない」と述べた。そして、教科書発行者が申請を行わない場合、申請を勧告する可能性を否定しなかった。 こうしたなかで、文部科学省教科書課は5月18日、中学社会、高校地理歴史、公民科の教科書を発行する20社近くの編集担当役員らを対象に、オンライン説明会を開催したことが報道された。説明会では、上記の国会での答弁を踏まえ、上記の閣議決定の内容などを説明したという。「主なスケジュール」と題した資料も示し、「6月末まで (必要に応じ)訂正申請」「7月頃 教科用図書検定調査審議会」「8月頃 訂正申請承認」という日程も伝えられたとされる。教科書会社側の関係者によると同省は文部科学大臣による訂正勧告の可能性にも言及したという(『朝日新聞』2021年6月18日付)。これは、文部科学省が直接教科書会社に対して圧力をかけ、日本軍の存在と責任を消そうとするものである。  日本軍「慰安婦」制度は、日本軍・日本国家によっておこなわれた性差別・民族差別・階級差別に基づく重大な人権侵害である。日本政府が閣議決定した答弁書は、明らかに「河野談話」からの後退であり、日本軍「慰安婦」問題における日本軍・日本国家の責任を否定しようとするものである。「強制連行」「強制労働」を否定することもまた、日本国家の深刻な人権侵害とその責任を抹殺する行為に他ならない。そして、これらの「政府の統一的見解」を教科書に反映させようとすることは、国家権力による教科書内容への不当な介入であり、到底看過できない。 2021年7月8日Fight for Justice(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会

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ラムザイヤー「慰安婦」論を批判したFight for Justiceセミナーの記事(『神奈川新聞』2021年3月31日・4月1日付)

ラムザイヤー「慰安婦」論を批判したFight for Justiceセミナーの記事(『神奈川新聞』2021年3月31日・4月1日付)

遅ればせながらではありますが、『神奈川新聞』「論説特報」に今年3月14日に開催されたラムザイヤー「慰安婦」論を批判したFight for Justiceセミナーでの報告内容が記事になって掲載されたので、アップします。 竹岡健治さんから提供を受けました。 吉見義明さん、小野沢あかねさん、茶谷さやかさん、藤永壯さんの順で、報告内容が掲載されています。ぜひご一読ください。 人権侵害無視した立論 吉見義明氏 (画像をクリックしてください) 英語圏の研究者も注目 茶谷さやか氏 (画像をクリックしてください)

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